本剤(キプレス®錠5mg/錠10mg/OD錠10mg)の代謝と排泄の経路は、以下のとおりです。
◆代謝
- ヒトにおけるモンテルカストの主要代謝物は側鎖メチル基の水酸化体及びベンジル位メチレン基の水酸化体でした。これら代謝物の生成にはそれぞれチトクロームP450(CYP)の分子種であるCYP2C8/2C9及び3A4が関与しており、CYP2C8がモンテルカストの主要代謝酵素でした。
- 側鎖メチル基の水酸化体はカルボン酸体まで酸化的代謝を受けることが確認されています。In vitro試験により治療時の血漿中濃度では、モンテルカストはCYP3A4、2C9、1A2、2A6、2C19又は2D6を阻害しないことが示されました1)~4)。
- In vitro試験によりモンテルカストはCYP2C8を阻害することが示されましたが、in vivoにおいてはモンテルカストは主にCYP2C8で代謝される代表的な薬剤であるロシグリタゾンとの臨床薬物相互作用試験で、CYP2C8を阻害しないことが示されました(外国人データ)5)。したがって、モンテルカストはCYP2C8で代謝される薬剤(パクリタキセル等)の代謝に影響を及ぼさないと考えられます。
◆排泄
- 健康成人にモンテルカストカプセル剤400mg注)を単回経口投与した際、尿中に未変化体は検出されませんでした6)。
- 健康成人に14C標識モンテルカストカプセル剤102mg注)を単回経口投与した後5日間の糞中及び尿中放射能排泄率はそれぞれ約86%及び0.1%でした(外国人データ)7)。
注)本剤の用法及び用量は、「<気管支喘息>通常、成人にはモンテルカストとして10mgを1日1回就寝前に経口投与する。<アレルギー性鼻炎>通常、成人にはモンテルカストとして5~10mgを1日1回就寝前に経口投与する。」です。
[関連FAQ]
- 電子添文(16.4項、16.5項)[2024年5月改訂(第2版)]
References
- Filppula, A.M. et al. :Drug Metab. Dispos. 2011 ;39 :904-911(PMID:21289076)
- Karonen, T. et al. :Br. J. Clin. Pharmacol. 2012 ;73 :257-267(PMID:21838784)
- Karonen, T. et al. :Clin. Pharmacol. Ther. 2010 ;88 :223-230(PMID:20592724)
- Chiba, M. et al. :Drug Metab. Dispos. 1997 ;25 :1022-1031(PMID:9311616)
- Friedman, E. et al. :Clin. Pharmacol. Ther. 2006 ;79 :72
- 大西明弘, 他. :臨床医薬. 2001 ;17 :443-470
- Balani, S.K. et al. :Drug Metab. Dispos. 1997 ;25 :1282-1287(PMID:9351905)
2024/5/8